最新映画ナビ トップ > 『フローズン・リバー』 特集

新居購入のために貯めていた大金をギャンブル依存症の夫に持ち逃げされ、2人の子供を抱えて途方に暮れている白人女性レイ。片や、愛する夫に先立たれ、義理の母に奪われた赤ん坊をいつの日か引き取ることを夢見ながら生きるモホーク族のライラ。
ふとしたきっかけで知り合った2人は、それぞれの切羽つまった“ギリギリ”の状況を切り抜けるために、はからずも犯罪に手を染めていく。彼女たちが一緒に始めた仕事とは、真冬の氷点下の寒さで表面が凍ったセントローレンス川を車で渡り、カナダとの国境を越え、アジアからの不法移民をアメリカへ密入国させるというもの。稼ぎは最高にいいが、先住民居留地の外で警察に見つかれば即刑務所入りの“危ないアルバイト”だ。
人種も生活環境も異なるレイとライラは、初めのうちはいがみ合いながらも、しだいに互いへの警戒心を解き、少しずつ信頼関係を築きはじめていく。しかし、現実世界は甘くなく、2人の先には数々の困難やトラブルが待ち受ける。やがて、取り返しのつかない最悪の事態へ追い込まれてしまったとき、2人は「究極の決断」を迫られることになる……。
“今年観た中で最高にエキサイティングで息をのむほどすばらしい”
                      ―クエンティン・タランティーノ


本作は長編初監督・初脚本ながらアカデミー賞2部門にノミネートされ、
08年のサンダンス映画祭では見事グランプリに輝き、審査員長を務めた
タランティーノから 最大級の賛辞を贈られた話題作だ。
先日アンケート付き試写会が行われ様々なコメントが寄せられた。


◆ギリギリの生活から抜け出そうとして犯罪に手を染めていきながら次第に
人間性を取り戻していくところがリアルでした。脚本がすばらしい。

◆現実に行われているであろう密入国の問題を取り上げて興味深かった。
レイのセリフや行動の端々にアジア系民族、少数民族への差別的な感覚
描かれており、アメリカ人の本質でよく描かれていたと思った。

◆すごく人間味があって痛々しいテーマながらも、温かみがあってよかったです。

◆人のダメさ、良さを上手く伝えていると思う。アクションにお金をかけた駄作よりは
よっぽど楽しめる。

◆子供を思う母という共通の気持ちがレイとライラを結びつけ犯罪に手を染めるのだ。
なぜか悪いことをしている二人とは思えなかった

◆貧しいと犯罪に手を染めてしまうことがあるが、それぞれ事情があって根っから悪い人なんていないという思いと、何があっても犯罪はよくないという思いで複雑な心境になった。人種差別も根強く、日本との違いを感じた。

また「もしあなたが、レイやライラのように苦境に立たされたとしたら、愛する家族のために何が出来ると思いますか」との質問に対してはこのようなコメントが。

●そばにいる事。少しでもお金を稼ぐこと。家族が自分のために罪を犯したら私は悲しく思う。だから、犯罪はナシ。(20代女性)

●犯罪以外なら(許せる)。社会での話しなんだし。苦境に立たない努力が大事だと思う。(30代男性)

●地道に努力するしかないと思います。この映画をみると、ちょっとくらいの犯罪は許されると思ってしまいます。(20代男性)

●犯罪は許せないが、似たようなことは出来ると思う。(20代男性)

●家族を守るためであったら、犯罪を犯しても、家族を守りたいと思います。(10代男性)

●何でもできるとは、口では言えるかもしれないが、実際になってみないと分からない。しかし、そういう場面になったらどうなるか母親の行動力が少し理解できた。(30代男性)

●犯罪までは…と思うが追いつめられたら、どんなことをしてでもいいと思うかもしれない(30代女性)

●同じように分かっていても違法なことをしてしまうかもしれないと思った。だから、私は許してあげたいと思った。(20代女性)

●家族…特に子供のためなら親は何でも出来てしまうのかもしれないが、反対側から見ると、それはまた違った話になるのかもしれない。(30代女性)

●警察に捕まらない程度のギリギリのラインまでだったら何でもやると思う。殺人以外なら許せると思います。(30代女性)

●法に触れることは何があっても許されないと思う。(20代女性)

“法に触れる事はダメ”というコメントが半数以上だったが、“家族のためなら法に触れる事も…”というコメントも数多く寄せられた。劇中のレイやライラは家族ため、密入国の仕事に手を染める。彼女達がとった行動は善か悪か? 是非本作を観ていただき「自分だったら?」と考えみるのはいかがでしょうか。
『フローズン・リバー』を観る前に・・・

■保留地とは(インディアン居留地)
アメリカ合衆国内務省BIA(インディアン管理局)の管理下にある、インディアン(アメリカ州の先住民族)部族の領有する土地。リザベーションという呼び名が一般的だが、有力な民族のものは自治権が強く1つの国家にも等しい力を持つとされ、ネイション(国家)とも呼ばれる。同様にインディアンやエスキモーが先住するカナダにも同種の領域が存在する。西部開拓時代には「インディアン・テリトリー(インディアン領)」と呼ばれていた。また、現在では「インディアン自治区」と呼ばれることも多い。(Wikipediaより) ・・・レイ、ライラが行う密入国という裏ビジネスの背景には、不法ではあるが州警察が中々立ち入る事のできない“保留地”が大きく影響している。

■出て行ったレイの夫が、保留地にいると推測した理由
保留地には“インディアン・カジノ”という、現代を生きるインディアン部族にとって主要な経済収入のカジノ事業がある。これはインディアンの重要な産業となっており、保留地が狭い不毛の地である部族には、カジノが唯一の収入源である場合も多い。 現在、アメリカにインディアンが運営するカジノは377ヶ所あり、ほとんどの州にインディアン・カジノが開設され、アパッチ族やチョクトー族、オナイダ族、チペワ族(オジブワ族)など連邦政府が認定する562の部族がギャンブル事業を運営している。これらインディアン・カジノの年間総収入は約1兆6500億円に達している。かれらのカジノのほとんどは都市圏から離れた場所にあるが、遠距離にも関わらず来客数は年次増大しており、保留地全体を潤す効果も甚大である。(Wikipediaより抜粋) この事からレイは、夫が新居を買うための大金を持って、保留地へギャンブルに行ったのだと推測したのだろう。